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Posted by さがファンブログ事務局  at 

2018年11月09日

■「歴史的風致」とは?(その3)

 身近な祭礼を例として、この「歴史的風致」を解説してみましょう。

 園部で先月行われた「園部くんち」の一風景を取り上げて説明します。


●園部宝満神社の秋の大祭 園部くんちでのお下りの様子

 写真は、園部くんちでのお下りの風景です。

【歴史的風致要素①】 園部くんちは、催行時期は江戸時代まで遡ることが、『基肄郡誌上郷神社記録』に慶安4年(1651)に再興されたと記され、また現存する御鉄砲祭具箱裏書に文政5年(1822)の銘があり、この頃には催行されていたことがたどれます。このことから、衣装を着て催行されている方々が、「地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動」に該当します。
※「大名行列」は、旧基肄養父郡の各地で催行されていますが、園部の自然・社会的諸環境、そしてそこで培われた人柄、人情など様々な要素が混然一体となって、今の姿を表現しています。そこから、どこにもない園部の大名行列であるといえます。

【歴史的風致要素②】は、このお下り風景の背後に写りこんでいる住宅で、今は希薄になった草葺き建築の典型的農家住宅で、お住まいの方への聞き取りでは、今から85年前に移築したとされており、50年以上前の建築であることが分かります。

【歴史的風致要素③】は、おくんちの行列の前に写っている稲実る田んぼや、背景である農家の風情全てを合わせて「周辺の市街地」と捉えます。

 つまり、この写真に表現されている全ての集合体が、歴史的風致ということになります。

 これまでの文化財的価値観との違いは、文化財が単体主義、つまり【歴史的風致要素①】~【歴史的風致要素③】を各々で考え指定してきたのに対し、国土交通省が考える歴史的風致は3つ合わさってはじめて「歴史的風致」として捉えるというものです。

 では、この「歴史的風致維持向上計画」は認定されると何が行われるのかについて、次回に説明しましょう。


●御旅所前での演舞の様子
  


Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 19:43Comments(0)参画事業

2018年11月09日

■「歴史的風致」とは?(その2)

 前回あげたモノが基山町の維持向上すべき歴史的風致として掲載したモノですが、それぞれの解説は、基山町HPに上げられている計画書をお読みいただくとして、本題に戻ります。

 「歴史的風致」について説明しておきます。


●荒穂の神さまが御行幸(みゆき)される前に必ず潮(しお)で、道端に置かれた御幣が清められます。【荒穂神社の御神幸祭】

 「歴史的風致」とは、この計画が寄って立つ法律、「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(通称)歴史まちづくり法」第1条に記されている用語です。

法文:第1条(目的)「この法律は、地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となって形成してきた良好な市街地の環境(以下「歴史的風致」という)の維持及び向上を図るため、文部科学大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣による歴史的風致維持向上基本方針の策定及び市町村が作成する歴史的風致維持向上計画の認定、その認定を受けた歴史的風致維持向上計画に関する都市計画の決定その他の措置を講ずることにより、個性豊かな地域社会の実現を図り、もって都市の健全な発展及び文化の向上に寄与することを目的とする。」と記されています。

 「???????????んっ」と思われた方も多いのではないかと思います。法律用語は、分かったようで、霧の中に私たちを誘い、よく分からなくなってしまうのが、法律用語ですね。


●明治17年(1884)建築の接待所(参籠殿・神楽殿)前で行われる、餅まきの様子【荒穂神社の御神幸祭】

 そこで、「歴史的風致」について、法律用語を分解してみます。「(以下「歴史的風致」という)」と記されている箇所から前の文章を分解してみましょう。
①地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動【歴史的風致要素①】
②その活動が行われる歴史上価値の高い建造物【歴史的風致要素②】
③その周辺の市街地【歴史的風致要素③】
  この①~③が一体となって形成してきた良好な市街地
 これら①~③を合わせた「一体となって形成してきた良好な市街地」が「歴史的風致」という、と記述されているのです。

 「??????んっ」、やっぱり分からんなぁ・・・・でしょうか。
 次回は、基山町の祭礼を例として、説明してみましょう。

                     ・・・・つづく。
  


Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 06:17Comments(0)参画事業