2018年11月15日

■歴史まちづくりの背後にあるもの(その2)

 話を戻すと、ネットワークの一つが、伝統的な神事や祭礼を行う際、集う人々の輪です。また稲つくり、酒つくりなど、地域伝統の産業も同じです。歴史的な、伝統的な諸行事には多くの人々の関わりがあります。当会のブログでも荒穂神社の御神幸祭をはじめ、多くの民俗行事を取り上げてきました。そこに描かれている姿は、実に多くの方々の手間や時間が、一つの祭礼には費やされています。

■歴史まちづくりの背後にあるもの(その2)
●次の年の祭りのためのワラ干し【荒穂神社 御神幸祭】
■歴史まちづくりの背後にあるもの(その2)
●しめ縄打ちの一週間前に行われるワラ選り【荒穂神社 御神幸祭】

 戦後、この地域の歴史・伝統を煩わしく思い、多くの人々が「都会」を目指し、地域との絆を断った。その結果が、「何かを失った」ことにつながったのではないかと、国自体が反省し始めたのかもしれません。
 孤立化を望む方は、お一人様で全てを全うしていただければいいのですが、御本人はそうであっても、「御遺体化した御本人」は楽観視できません。「自己責任」論、言い換えると「自己完結」論は現代社会では成り立ちません。たとえ人知れず山の中で一人息を引き取っても、どこかで誰かの手間と時間を奪うのは必至です。であるならば、皆で助け合うことが必要ではないかと国策として考え出したのではないかと想像します。神戸大震災から芽生え、東日本大震災から注目されだした「絆」、その後の日本の社会情勢は、災害の渦に巻き込まれています。そこで、繰り広げられるボランティア活動は、ネットワーク復権の一つの形であるのかもしれません。わざわざ被災地へ出向かなくても、身のまわりから気づき参画することはできます。

■歴史まちづくりの背後にあるもの(その2)
●東日本大震災時の食事配給準備の様子【多賀城市】

 戦後、劇的に進行した核家族化、利便優先社会は、相応の時間経過の中で進行していきました。経過した時間を戻すことはできません。今を生きる私たちは、直面した今の社会のあり様が、「良い社会」なのか「悪い社会」なのかを立ち止まって考えてみることができます。もし「悪い社会」と感じるならば、良い方向へ向けていくべく一歩、また一歩と歩みを進めていくことができるのも、今を生きる私たちの特権です。相応の時間は必要だと思いますが、その一歩が、未来の大きな変化へとつながっていくはずです。
 歴史を振り返り、未来へつなげること、これが歴史を学ぶ社会的意義なのです。

 昨今のメディアが、地域の祭礼を頻繁に取り上げ、催行者のモチベーション向上につながるようになったことも、この歴史まちづくりを進める国の政策の表れだと思います。



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Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 06:47 │Comments(0)参画事業

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