2023年08月23日

■第7回きやま創作劇をふか〜く知る(その21)

■「椽」「基肄」(その2)

 話を戻して、「椽」は、音読みで「えん」「てん」「でん」、訓読みで「ふち」「たるき」「はしご」と現代では読まれ、「き」「きい」と呼称する辞書が見当たりません。

 では何をもって「椽」が「き」「きい」と呼称されると判断されるのでしょうか。

 この「椽」が「き」ないしは「きい」とよめる根拠は、『続日本紀』文武天皇2年5月条に記されている「令大宰府繕治大野。基肄。鞠智三城。」の文言に、「基肄」という文字があり、かつ「大野」と列記されていることから、『日本書紀』天智天皇4年8月条にある「於筑紫國築大野及二城。」と列記される「椽」が「き」「きい」と呼称されると捉えられています。また、後日、本シリーズで紹介する「万葉集」に「記夷城」と表現されていることから「き」ないしは「きい」とよむことができると考えられます。

 そもそも「椽」と記して、当初は別のよみであった可能性も否定できません。

 なお、江戸時代に記された『日本書紀』の写本に「キ」「ギ」とよみがなが記されている根拠も、『続日本紀』文武天皇2年5月条の「基肄」と万葉集に出てくる「記夷城」の両者からよみがあてられたと推測できます。

【「椽」の文字に付されたよみ】
慶長15年(1610)写本 「キ」
寛文9年(1669)写本 「キ」
文政3年(1820)写本 「ギ」
刊行年不明   写本 「キ」

■第7回きやま創作劇をふか〜く知る(その21)
【写本写し】
出典:国立国会図書館ウェブサイト 2023年8月22日利用
原本写真データを抽出改変



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Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 06:53 │Comments(0)参画事業基山の文化遺産関連する文化遺産

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