2022年12月04日

■『枯松二国境物語』をふか〜く知る(その2)

●身分(階層)

 江戸時代に入り武士と商業者、農業従事者など社会分業制が明確になり、「身分」の分離と安定化が図られていきます。

 いつの頃からか、NHK大河ドラマに描かれる戦国時代の武将が置かれた社会的立場の描き方に差があることに気付かれているでしょうか。
 80年代より前は、馬上に乗る「お殿様(領主)」と平伏す民衆という構図で描かれていましたが、それ以降では、馬上に乗る領主と、それを眺める農民・民衆、共に農民と農作業をする領主という描き方に変わってきています。

 これは、歴史研究の進展によって、戦国時代までは未だ「身分」の固定がなかったことをドラマとして描くようになってきたということを物語っています。その際たる人物が羽柴秀吉、後の豊臣秀吉であり、先祖は武人の出自を持ちながら油売り商人から身を起こし戦国武将になった斎藤道三など、武人としての階層の流動性を物語っています。

■『枯松二国境物語』をふか〜く知る(その2)
戦国時代 考証 香川元太郎 2002年 あすなろ書房 『衣食住に見る日本人の歴史 3』より

 これが、江戸幕府開府とともに、将軍家を頂点とする階層構造をつくらんとする徳川家康の施策によって、階層の固定化が図られることになってきます。
 その結果、それぞれの階層が固定され、かつ社会発展の結果、江戸幕府によって形づくられた階層が、いつしか「当たり前」となり、安定的な営みが形成されていくことになり、戦国時代は武士によって国境が争われていたものが、「枯松二国境物語」のように農業従事者(庄屋階層)が国境争論の主役として登場することになっていくのです。

■NHK大河ドラマ 
●1995年〜1996年 秀吉 第1回放送映像
「織田信長の行軍を見る農民階層(その中の一人として秀吉が描かれています)が立って見送っています。」
●2020年〜2021年 麒麟が来る 第1回放送映像
「農民階層とともに明智光秀が作業を行っています。」



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Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 10:16 │Comments(0)関連する文化遺産

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