2023年08月19日

■第7回きやま創作劇をふか〜く知る(余談)

■字義を大切にした近代以前の人びと

 「紀念」「記念」や「址」「阯」「跡」の字義を知ると、「利便性」の「大義」のもとに今の世の中が如何に文字の意味を失っているのかが分かってきます。文化遺産を考える上で様々な場面に関わってきますので、きやま創作劇から少し離れ、文化遺産を理解する上において注意しておく必要があることを少し記しておきます。

 お宮の鳥居に掲げてある扁額や、碑文に、時々、「誤字?」と解せる文字が記されていることがあります。

 福岡県太宰府市国分の日田街道沿いに、菅原道真公が旅装束から官人服に着替えた際に衣を「か」けた松が伝承されている「ころもかけてんじん」があります。鳥居扁額に記されている文字もさることながら、その読みも土地の方々は「きぬかけてんじん」と呼称されています。伝承と読みの関わりは、その時々の記憶によって変容していくものですので、その良し悪しは置いておきますが、原典となっている物語(意味)を忘れないことが大事です。

 この「ころもかけてんじん」の字ですが、文化9年(1812)に寄進された石製鳥居には「衣挂天神」と記されています。

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【衣挂天神】

 「あれ・・・?」何か足りない?  
 「挂」の右端に「ト」が無い。・・と思われましたか?

 衣を「かける」の字を調べると、衣服を「かける」のは「挂」が正しいことが分かります。
 では「掛」けるは・・・、「掛け軸」などをかける際には「掛ける」が正しいのです。

 日本近世の社会においては、字義を尊重し、しっかりと使い分けられていることが分かります。

 文化遺産調査では、このような状況にまま遭遇します。その際に、現代の知識、ましてや個人の狭い知識のみで理解せず、文字が持つ意味をしっかり探索し、安易な「誤記」として理解したり、解説(ガイド)しないことが必要です。 


 さて、基肄城を築いた方として、これまで何度も記述してきた「天智天皇」の読みであるフリガナも、その時々で変化していっていることをご存知でしょうか。



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Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 10:15 │Comments(0)参画事業関連する文化遺産

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