2019年06月26日

■創作劇『こころつないで』を、ふか~く楽しむために

■創作劇『こころつないで』を、ふか~く楽しむために(その10)

6.人夫④のセリフに込められた「基肄城に秘められたおもい」

 厩戸皇子(聖徳太子)の思いを引き継ぎ、氏族制度的社会を脱し、大帝国唐の持つ国家制度的社会を打ち立てなければ、いつかは大陸諸国の属国になるという不安を払しょくすることができない。この危機感の中、中大兄皇子と大海人皇子兄弟は動き始めます。まずは、大化改新として教科書では知られる「乙巳(いっし)の変」で、大王家と肩を並べ台頭してきた蘇我本宗家を打倒し、大王家の手に為政権を取り戻します。その後、大化2年(646)、改新の詔で古代国家の基盤となる諸制度を提起しますが、やはり厩戸皇子の前に立ちはだかった巨大な壁が二人の兄弟の前に立ちはだかります。「どうにかしなければ、大帝国唐のような中央集権的国家制度は導入できない。」と思い悩みます。

と、その時、百済救済のための海外遠征である「百済の役」が二人の兄弟の前に背負わされたのです。その時、二人の兄弟の脳裏に、外征には、二つの働きが思い浮かびます。勝てば、カリスマ性が大王家に備わり、負ければ、外敵を想定し一致団結した結束感が生まれます。どちらに転んでも、国家への道を歩むには利用できる手段が転がり込んできたと思ったに違いありません。

まずは、地方の豪族たちに大王の姿を見せ、大王家本体が外征する意気込みと万が一大帝国唐に勝った時のカリスマ性を帯びる象徴としての大王を豪族たちの意識に刷り込むと同時に、豪族の私兵を集め、「クニ」を守るための同盟軍を結成していきます。

■創作劇『こころつないで』を、ふか~く楽しむために
●白村江の戦いへの道のり
 武光 誠他監修(2012)『地図・年表・図解でみる日本の歴史(上)』より抽出改変

 しかし二人の兄弟の中には、同盟軍では大帝国唐の国家軍には太刀打ちできないことは容易に想像できていたのかもしれません。ここにも、二人の兄弟の戦略を見ることができます。そして、宮を「地つきる地」である「つくし(筑紫)」の地に築き、最前線基地として百済の役に臨むことを実行に移していきます。
・・・・・・・・・【つづく】



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