2018年08月14日

■住吉神社と特別史跡基肄城跡(その1)

 平成30年7月豪雨災害から1ヶ月、町内でも丸林地区をはじめ多くの地域で被害が出ました。当会でも被災した方々のレスキューにむかい、小さなできることを持ち寄り少しづつ少しづつ復旧作業に携わらさせていただきました。一方で、多くの場所で自然の猛威を前に人間の力の小ささを思い知らされる場面ばかりでした。
 その一つが、我が町基山の宝である特別史跡基肄城跡を襲った土石流の現場です。
 基山(きざん)中腹の自然崩壊に端を発し、山頂までその痕跡を残す被災現場は、かつての姿を思い出せない程、大規模な崩壊を引き起こしています。その土石流と流木を一手に引き受け、下流の丸林集落へ押し流されるのを防いだかのように、特別史跡基肄城跡の水門ある石塁には、多量の流木が堆積していました。そこにあったのが、丸林集落の方々が代々受け継ぎ信仰を深められていた住吉神社です。
 ここには、住吉神社のみならず、町内のガンジョウジ(願成就)の際のお潮井採りの場であったり、何よりも丸林集落の方々の思いが残る様々な文化遺産も築かれています。
 今回の被災で、住吉神社は崩壊し、江戸時代奉納の石製神殿や鳥居、そして狛犬が下流に押し流され、かつての姿をとどめない程、自然の猛威を目の当たりにします。

■住吉神社と特別史跡基肄城跡(その1)
■被災前と被災後の姿

 不幸中の幸いというと、被災された方々には大変失礼なことであり申し訳なく思いますが、住吉神社の周囲に堆積している流木の下に、住吉神社の神殿、鳥居、狛犬の部材が原型をとどめて残っているのを確認しています。そして忘れてはならないのが、水門横に流れる筒川に掛けられている橋は、丸林集落の方々が「お伊勢参り」を記念して奉納された橋です。可能であれば、神社の部材は今一度拾い上げ、組直し、橋を復旧することで、丸林集落のご先祖様がつないで来られた思いを未来につないでいけたら、これこそが、どこにもない基山の個性を失わずにすむ一歩だと思います。

■住吉神社と特別史跡基肄城跡(その1)
■被災した住吉神社の部材や橋
(基山町教育委員会との協働調査報告より)



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Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 07:43 │Comments(0)基山の文化遺産

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