2023年06月28日

■特別史跡指定70周年(もっひとつおまけ)

 特別史跡基肄城跡には、絶滅危惧種のオキナグサがあることでも知られています。

■特別史跡指定70周年(もっひとつおまけ)
【オキナグサが育つ基山(きざん)】

 そこで「世界に一つしかない特別史跡基肄城跡」と「絶滅危惧種オキナグサ」どちらを大事にしなければならないのか?

 なんと答えられますか?

 さまざまな答えが聞こえてきそうです。

●「絶滅危惧種」は希少植物だから、「生態系の保護」を考えると、絶滅危惧種を育てるべき

●基肄城跡は特別史跡であり「世界に一つ、ここにしかない」、絶滅危惧種とはいえここ以外にも育っている場所があるなら、そちらを保護すればいい。

 などなど。

 「恋は盲目」という言葉がありますが、「大事にしたい」と思うことに囚われ、周りが見えなくなる。特別史跡基肄城跡の土塁の上に絶滅危惧種が育っていると、史跡保護、史跡景観を顧みることなく杭を打ち始める行為。特別史跡だから、絶滅危惧種を保護する行為を禁止する。などどちらか一方を大事にするあまり、冷静さを失い周りが見えなくなった行為で、とても大人が行う行為ではないと思います。

 ただ言えることは、まずは昭和12年から史跡として、そして来年3月で70周年を迎える特別史跡として保護されてきた史跡環境があったからこそ、様々な植物・昆虫・動物が育ってきたといえます。ここで注意すべきは「保護されてきた」という語です。全くの自然状態で「放置」されてきたわけではありません。オキナグサが育つ場所も含めて山頂は、毎年除草のための草刈り、野焼きが長きにわたり繰り返し行われてきました。いわば人の手が毎年入り、保護されてきた「みかけの自然」環境だということです。

■特別史跡指定70周年(もっひとつおまけ)
【昭和10年代の基山(きざん)】

 この人の手が絶えず入っていた環境下であったからこそ、今育つ絶滅危惧種や他の植物も生育できたのではないかと思います。

 今、オキナグサを育てるために柵が設けられ、史跡保護のための除草作業とは別に、除草が行われているようです。願わくば、一過性に終わらせず始めた方々皆さんが責任をもって、安易に第三者に頼らずご自身で未来永劫、その行為を続けていっていただきたいと思います。

 植物や昆虫、動物も、一旦、「保護」の名のもとに広報されていくと、心無い人たちによって盗掘や捕獲が始まります。そのリスクも考慮しての広報活動・保護活動であったと思います。※1

■特別史跡指定70周年(もっひとつおまけ)
【特別史跡基肄城跡がある基山(きざん)】

 特別史跡基肄城跡として、そして絶滅危惧種の育つ山として、互いに排他的でなく両者のことを思いやり、特別なことはせず「これまで」通り、みんなで育める世の中の象徴として進んでいってほしいものです。

※1 NHK「ダーウィンが来た」で放送された「宝満山のヒキガエル」が、今、心無い人たちによって乱獲され数が少なくなっています。確かめた情報ではありませんが、ネット販売されているという噂も飛び交うまでになってしまいました。とても残念なことです。



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Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 21:14 │Comments(0)基山の文化遺産

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