2017年04月08日

よく似た建物

 今回は、よく似た建築を紹介しましょう。
 一つは、わが町基山にある建築物で、JR基山駅前の長崎街道沿いに、波板で保護された木造建築が建っています。

■梁井家住宅【基山町】
 長崎街道から平入するもので、切妻桟瓦葺き木造二階建て建築です。
 一見古びた建物ですが、長崎街道沿いに建つ基山を代表する伝統的な町家形式を有する貴重な建物です。梁井家がご所有で屋号を「松浦屋」とし菓子製造を営んでおられました。
 建築年は明治5(1872)年頃と伝えられ、中に入ると6畳の中の間吹き抜け構造を有し、一階を見下ろす窓には社寺建築に見られるような高欄を有しているなど、建物の質の高さを物語っています。

 一方、この建物によく似た建物が、太宰府天満宮がある旧宰府宿にあり、御所有者の名を冠して、杉村家住宅と呼ばれています。

■杉村家住宅【太宰府市】
 杉村家住宅は、かつて小鳥居家があった通りである小鳥居小路の北側にあり、明治24年以前に移築されたものと伝えられています。梁井家住宅同様に、通りから平入するもので、切妻桟瓦葺き木造二階建て建築です。二階の表構えは、現在は連窓としておられますが、かつては庇柱筋に小窓を穿ち、両開き鉄板張防火戸が建てられていたと伝え聞きます。
 この杉村家も内部に一階から二階への吹き抜け構造を持ち、手摺りが巡らせてあります。
 梁井家が中の間吹き抜けであるのに対し、杉村家は土間吹き抜け構造を有していることや、外観をよく見ると、二階に下屋庇を有する杉村家に対し、それが無い梁井家という違いも見られます。

 太宰府にある杉村家住宅は、太宰府市が進めている国土交通省事業である「太宰府市歴史的風致維持向上計画」関連事業として歴史的風致形成建造物に指定され、平成28年度に大屋根と壁の一部が国土交通省からの補助事業によって修理されています。また平成29年3月31日には、お隣の江戸末期建築の小山家住宅とともに太宰府市景観重要建造物に指定され、宰府宿にある小鳥居小路の景観づくりに欠くことができないものとなりました。一度ご覧ください。

※江戸末期建築の小山家住宅は、古民家再生としてこちらも国土交通省の補助事業により保存修理され、基山ご出身の奥様がご夫妻でカフェ(Café Coccolo)を開業されています。一度、お立ち寄りください。
  


Posted by 基山の歴史と文化を語り継ぐ会  at 14:14Comments(0)基山の文化遺産